39号:特集 AWAJI藍LAND project

藍栽培から企画・販売まで藍製品に関わる全てに取り組まれており、微生物との共同作業だという蒅(染料)づくりも自ら行われています。
地域循環を目指すご自身の活動をより多くの人に届けるための挑戦をご紹介します。

AWAJI藍LAND project

【住所】
 兵庫県淡路市釜口1185
【電話番号】
 0799-74-0050

<ホームページ>

<Instagram>

淡路島で出会った藍色に感動して

 実は藍染めに出会ったのは淡路島に来てからだという根岸さんご夫婦。
土に触れる暮らしに憧れて、淡路島への移住を決めたそう。
 「最初は大阪と淡路島の二重生活をしていました。
そんな中、友人にもらった藍の種を家庭菜園用に借りた畑で育てたことがきっかけなんです。
緑色の葉から藍色が生まれることに感動して、藍染めにのめり込みました」
 藍に魅せられた後、徳島県の藍師や栃木県の染師に師事し、伝統的な藍染めの想いと技法を学んだ根岸さん。
確かな技術力は評判を呼び、2018年の創業以来、NHK大河ドラマでの藍染め演技指導をはじめ、教育機関の講師として招聘されるなど、さまざまな分
野で活躍されている。

▲奥さまの絵里さんと代表の誠一さん

「藍」が結ぶ縁で今の生活に合った商品を

 通常、藍染めの世界では『藍栽培』『蒅(染料)づくり』『藍染め』『商品販売』が分業で行われているが、AWAJI藍LAND projectでは〝無農薬・淡
路島の有機肥料で育てた『おのころ藍』を、自分たちの技術で染めた商品として届けたい〟と、その全てを一貫して行っている。
 また、その名の通り、藍を使った企業連携プロジェクトを幅広く手掛けており、淡路メリヤス㈱・ニットデザイナーと連携したレッグウォーマーや、淡路島内の神社および就労継続支援事業所と連携した水引御守など、多彩な商品を生み出している。
 「伝統の技術を使って、今の生活に合った商品を提案すること、『藍と人を結ぶ』ことを大切にしています。
藍に関わる人を増やしたいんですよね」
 と根岸さんは話す。

▲商工会の「PR支援事業」で撮られた写真

活動を多くの人に伝える体験&宿泊施設を建設

 「地域循環を目指している自分たちの活動を、多くの人に『実感』として伝えたいんです」
という根岸さんだが、これまでの工房は住居兼用だったため、見学や体験の希望があっても十分に受け入れられていなかった。
 そこで、事業再構築補助金を活用し、藍畑のすぐ隣に藍栽培から藍染めまでの一貫したプロセスを学習・見学・経験できるショップ兼体験
施設と、藍染め製品のショールームを兼ねた宿泊施設を建設した。
 「事業のすべてを夫婦二人で行うのでやることが山積みになってしまうのですが、取組の優先順位の整理など、補助金の申請から実
績報告まで淡路市商工会の職員さんにはお世話になりました。
 特に自分たちが苦手な数字面の分析では本当に助けられました」

▲手前が宿泊施設、奥が体験施設。どちらからも藍畑を臨む

▲藍製品がふんだんに使われている宿泊施設

共感を育てて「藍」を未来につなぎたい

 今、根岸さんが取り組んでいるのが情報発信強化だ。
 どんなに素晴らしいモノでも認知されないと売上にはつながらない。
 そこで、職員から提案された専門家派遣制度を利用して、広報のエキスパートと共に新商品や体験・宿泊施設のプレスリリースを実践している。
 「研修や観光コンテンツのひとつとして、体験を通じてAWAJI藍LAND projectの取組に共感してくれる方を育てていきたい。
藍に関わる『みんな』の輪が広がれば、淡路島の藍文化も続いていく。
ひいてはそれが地域振興にもつながると思うんです」
 淡路島の未来に思いをはせる根岸さんの挑戦は始まったばかりだ。

▲藍×漁師文化×線香をつなぐ「どんざのお結び袋」。プレスリリースの結果、神戸新聞やNHKで取り上げられた。